『出口のない海』
以前から観たいと思っていた映画、『出口のない海』を観に行った。
人間が魚雷に乗り込んで操縦して自爆攻撃した回天特攻隊の切ない青春の物語
である。
神風特攻隊や戦艦大和に比べてほとんど知られていなかった回天は、ひとり乗りで
操縦が非常に難しく、よく故障し、一度発進したら内側からは脱出することは困難
だったそうだ。
太平洋戦争の最末期に大学生から海軍に志願した学徒兵がこの兵器に乗り込んで
訓練を受けた。その訓練の過程がよく描かれているのが、これまでの特攻隊映画に
ない特長だそうで、観る者は、出口のない状態で爆弾の一部になってしまう恐怖を
想像する。
主演の市川海老蔵の明るく爽やかな好青年ぶりがとても良かった。
お互いに好意を寄せている女性との別れ、緊迫した中での父との淡々とした会話、
戦友との別れ・・・ 胸にジーンとくる場面が何度もあった。
特攻隊を悲壮さで美化せず、しかし死んでいった若者たちに対して敬意をもって
とむらう鎮魂の作品と言える。
竹内まりやの主題歌、『返信』もすばらしい。
現役時代は映画なんて5年に1度くらいしか観なかったが、『出口のない海』は今年
観た6作目の映画である。6作の中では上位に位置する作品であった。
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