以前にもブログに書いたが、月曜日の朝日新聞に掲載される「朝日歌壇」は毎週
読んでいる。
年明けということもあり、今回は09年の入選作から、4人の選者が各1首選び、4首が
紹介されていた。
※ 「煙草吸うヤツしか乗せない」はずだった車に置かれたチャイルドシート
※ うずくまる野手をなだむる野手がいて勝者は既に整列を終う
※ 白鳥が水浴びるごと噴水は降りしきる雨を受けてはばたく
※ 子ら起きる前のひとときひっそりと『1Q84』年に旅する
1年間の数多くの投稿の中から選者が選んだ4首、もちろんそれぞれ秀逸であるが、
ボクは昨日の新聞で紹介された以下の3首が印象に残り、何度も読み返した。
選者の評とともに紹介。
※ 自死防ぐ討論会は何一つ結論は出ず静かに終わる
【評】 「自死」の問題への注目も結論なしの情景を「静かに終わる」ととらえて
今日を生きる人々の深淵のような心の深みをのぞかせた。
※ 社員三人鬱病となしし社に勤め十六年をくたびれ果てぬ
【評】 今日の世相そのものを体験にもった歌。作者も鬱情をまぬかれながら
「くたびれ果てぬ」とうたう。
※ 中学を出て働きしご褒美にこの頃年金友より多し
【評】 年金に関連した珍しく明るい作。暗い歌をたくさん読んできて、この歌に
出会い、ほっとした気分を味わわせてもらった。
今週の入選作の1番目と2番目は「死」を連想させる歌である。
生計の主を失くした家庭の子供さんたちに手を差し伸べることを趣旨に活動している
「あしなが育英会」に支援をさせてもらっている。
定期的な寄付とともに、街で募金活動に出会ったときは必ず協力させてもらっている。
年に数回、ニュースレターの「あしながファミリー」が送られてくる。
年末号では、お父さんを亡くし、お母さんが家計を支えるため必死になって働いている
家庭の子供たちと母親の投書がいくつも紹介されていた。
『大学に合格したが、入学金が払えず、合格を取り消された』というケースが数例、
ほかには『子供たちを何とか高校にだけは行かせたい』と、切ない母親の投書も
いくつかあった。
今年度、あしなが育英会の奨学金を借りて高校に進学した遺児の母親729人の
平均勤労年収131万円。調査史上初めて一般家庭の3割を割り込んだとのこと。
特に読んで辛いのは父親が自死した家庭である。子供たちはお父さんが自殺した
とは言えないまま、辛い生活を強いられている。毎年3万人を超える自殺者、その
多くの家庭で起きている現実である。
そのような中、『超党派で子どもの貧困対策基本法を制定する取り組みが始まった』
との大変うれしいニュースが紹介されていた。
あしなが育英会の遺児学生と会が中心となり、提唱した結果とのこと。
「あしなが育英会」と遺族の宿願だった基本法が制定されれば、貧困家庭の子ども
たちや若者を取り巻く問題が、前に進む大きな一歩となることは間違いない。
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