単独行動が2日続いたため、カミサンと娘が少々不機嫌。
『紀子を実咲から解放してやりたい。紀子に行きたいところに行かせてやりたいのに、
あなたはひとりで2日間勝手に行動し、私だけでは実咲の面倒をみる自信がなく、
紀子をひとりにしてやれなくて、カワイソウ』、これがカミサンの論理。
うん、たしかにそうではあるものの、もう1ヶ所どうしても行きたいところがある。
しかも、残された時間は今日と明日だけ。おまけに今日も絶好のハワイ陽気。
ここはなんとしても譲れない!
『それじゃ、カイルアビーチに一緒に行く?』と、合意点を探るが、『私たちは興味ない』と
折り合えず。
結局、3日続けての単独行を決行することにする。
行きたかった場所は、ガイドブックに、『全米ベストビーチのひとつ』と紹介されている
カイルアビーチ。
バスで行くには結構苦労しそうであることは調べてわかった。
マクドナルドでもらえると聞いて手に入れた数種類のバスの時刻表の中に、たまたま
カイルアに行ける57番のバスが出ていて、57番は歩いて15分くらいのアラモアナの
バス停から出ることを知った。
もたもたしていて、結局11時過ぎのバスに乗る。
時刻表によればカイルアまで40分。
途中、毎日見ている海の景色とは違う、山の中を抜けるフリーウエイを通る。
混んでいたバスはだんだん乗客が少なくなってきて、30分たったころ少々不安になり、
運転手に『カイルアはまだか?』と尋ねる。
『カイルアのどこに行くのか?』と聞かれ、『ビーチ』と答えたら、『わかった、着いたら
教える。ただ、ビーチだとこのバスを降りて、70番のバスに乗り換えるか、ビーチまで
1マイルくらい歩くことになる』
へー、そうか、このバスはビーチを通るのではないのか。70番のバスはすぐ来るかなぁ。
この暑い中、1マイル(1.6キロ)歩かなきゃダメかもしれないなぁ。
運転手に礼を言いバスを降りる。
バス停にベンチがあり、オバアチャンがひとり座っている。
オバアチャンに、『ビーチに行きたいんだけど、70番のバスは来るのかなあ?』と尋ねる。
オバアチャンは、『70番は1時間半に1本だけど、たぶん間もなく来るはず。私は10分
くらい前から待っているんだけど』
おいおい、ホントかな。 『どうして間もなく来るってわかるの』と聞きたかったが止める。
オバアチャンは、『あなたは日本から来たの?私のオバアチャンは新潟の人で、
オジイチャンはドイツ人』てな話を聞いていたら、オバアチャンの予感は見事にピッタリ。
1時間半に1本のバスが5分後くらいに来た。
バスに乗ってからも、『私はカイルアのとなりのラニカイに50年住んでいる』
どおりで見事にカンがあたったのかな。
バスのお客は誰もいなく、オバアチャンだけ。
オバアチャンの話は続く。『私はいま76歳。息子が4人いるが、みんなここを出てゆき
メインランドに住んでいる。主人は20年間の闘病後、6ヶ月前にガンで亡くなった。私は
今はここにひとりで住んでいて、時々メインランドに息子や孫に会いに行くけど、飛行機を
乗り継ぎ、4ヶ所いずれも8時間以上かかり、もうこの歳では大変』
そのうち、オバアチャンは顔なじみなのか運転手に話しかけ、『日本からわざわざカイルア
まで来たみたいだから、どうせこのバスはカイルアとラニカイをぐるりと回るんだから、
乗せて回ってあげたら』と、オバアチャンは運転手に頼んでくれる。
この運転手がまたよかった。人の良さそうな田舎のオジサンの雰囲気で。
たしかに全米ベストビーチのひとつだけのことはある、窓から見える海はホントにみごと!
絶景のバス停でしばらく停まってくれる。
オバアチャンはそのうち、『私はここで降りる。美しい海をしっかり楽しんでおいで』と言って
バスを降りる。『いろいろご親切にありがとうございました』とお礼を言い別れる。
バスは海沿いの家の並んだ道をゆっくり走る。
運転手がバスを停めて、『家と家の間から見える海がきれいだろう』
ホントにきれいだ! コバルトブルーと言うのかなぁ。
残念だ、今日もデジカメはカミサンが持っている。
ここは降りて海に行った方がいいと思い始め、運転手に『降りて海に行ってみたいので
停めて欲しい』と頼む。
降り際に、『これを持ってゆけ』と言って、3時半までに乗ればタダで乗れる切符を1枚
くれた。たった2ドルの切符ではあるが、運転手のこの親切に胸がジーンときた。
降りて、家と家の間を通り抜け海に出た。
言葉では言い表せないないくらい、すばらしい海だった。
撮った写真がないため、よそのサイトから写真を無断拝借した。ゴメンナサイ。


これら3枚の写真はいずれもカイルアビーチであるが、実はオバアチャンが住んでいる
ラニカイビーチはカイルアビーチよりもっと回りの雰囲気がよかった。
残念ながら写真がない。
暑いにもかかわらず、両ビーチとも泳いでいる人はほとんどいない。
折角あこがれのカイルアとラニカイに来たのだからと思い、いずれのビーチでも泳いだ。
行きのバスは大変順調だったが、帰りのバスは悲惨だった。
1時間半に1本なので仕方ないことではあるが、待てど暮らせど70番のバスが来ず
40分くらい待って業を煮やして1マイル歩いた。
道沿いにあったスーパで写真の代わりになると思い、絵葉書を買った。
来たとき57番のバスを降りたバス停まで歩き、57番バスを待ったがこれまた来ず。
結局イリカイに帰るのに3時間かかった。
帰ったら5時。カミサンと娘は当然のことながら不機嫌だった。
ただ、すばらしい出会いがあり、すばらしい海を見ることができ、最高の1日だった。
明日は最後の1日なので、しっかり家族に付き合わなければと少々反省した。
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